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化学部からラグビー部に。そしてトレーナーに。多くの壁を乗り越えて見えた自分の姿。(後編)

望月太智さんサムネイル画像

 

こちらの記事は後編です。前編はこちら化学部からラグビー部に。そしてトレーナーに。多くの壁を乗り越えて見えた自分の姿。(前編)

 

支え続けるために必要な「自分の軸」

 

—— トレーナーになってからの率直な感想を教えてください。

 

正直言うと、もうやりたくない気持ちもあります(笑)。1年生の最初の半年で「俺向いてないな」と思ってしまいました。

 

選手に信頼されていてかっこいいイメージがありましたが、実際には現実とのギャップを感じることもありました。

 

早稲田で日本一になりたいという気持ちが強かったですが、自分の働きがチームの成果に直結しているように感じられない時期はきつかったですね。

 

—— その経験を経て、マネージャーとかトレーナーとして悩んでいる人へのアドバイスとか、意識して欲しいことはありますか?

 

去年の冬に、一度燃え尽き症候群(バーンアウト)してしまったんです。

 

チームが思うように勝ち進めなかったタイミングで、ちょうど膨大な量のデータの処理を頼まれていて。その週はその作業に追われている中チームが負けてしまい、「俺はこの作業をなんのためにやっているんだろう?」と思ってしまいました。

 

—— どうやって乗り越えたんですか?

 

コーチに相談して仕事量を減らしてもらって、ちょうど長期OFFに入ったということもあり気持ちの整理ができました。

正直、学生スタッフとしてのこの4年間は仕事へのモチベーションで悩んだことが多かったように思います。

 

日本一に貢献したい気持ちはもちろん一つのモチベーションでしたが、そういったチームに対する純粋な気持ちをずっと持ち続けるのは難しく、その時ごとに「就職のため」「社会に出た時に使えるスキルのため」と無理やりモチベーションを作り上げた時期もありました。その時期はきつかったですが、そういったことは社会に出た時も往々にしてあるのではないかと思っています。

 

そういった意味でトレーナーなど支える側の人も、「~~のために貢献する」という思い以外に「自分がこうなりたい」という気持ちや意気込みをしっかり持っておくことも大事だと思います。「やらされている感」が強くなるとやはり気持ちがもたないですよね。

 

特に学生のトレーナーやマネージャーは、自分のやっていることが選手のためになっているということをすごく実感しにくいです。自分の中で何か大きな目的や理由を見つけることは、時間がかかりますが、大事なことだと思います。

 

 

学生トレーナーならではの強み

 

—— 学生トレーナーとして意識していたことはありますか?

 

コーチがどういう戦術やスタイルでやろうとしているのか、どういったラグビーをしたくて、どんなプレーが必要だからどんな体づくりが必要なのか。そのためのトレーニングはこれ、と理解できていると良いですよね。

 

—— たしかに、選手に何か質問をされた時なども含めて、とても重要な要素ですね。

 

自分が譲れないポイントを主張できると良いですよね。自分の大事にしていることをぶつけて、意見交換やコミュニケーションが大事だなと思います。

 

あとは、ビジネスの基本としてもよく言われることですが「できないことをできないと言う」ことですね。パンクする前にできないことを伝えてもらえれば、周りが対応できますし結果的に自分のためにもなると思います。

 

—— 学生スタッフ内のコミュニケーションでは何か意識していたことはありますか?

 

行動基準を定めてあげることはすごく大事だと思います。

 

僕は「Aチームに関わること」「選手のパフォーマンスに直結すること」を優先すると決めています。そうすることで、作業が多くなってきた時や、下級生のスタッフが不安な時にも行動の指標になります。

 

—— なるほど、基準があるとより迅速かつ正確に仕事ができますね。ちなみに、学生スタッフとして意識していた強みなどはありますか?

 

選手の本音、現場の生の声を聞けることは学生スタッフの強みだと思います。

 

例えば、「コーチには言っていないけれど実は膝を痛めていて~」と選手から打ち明けてもらうこともありますし、あとは「この練習どういう意図でやっているの?」など、コーチに直接聞きにくいことを仲介して聞くことができます。これはチーム全体で見るとすごく大事な役割だと思います。

 

—— 逆に悩みやうまくいかなかったことはありましたか?記事を読んでいる方の中にトレーナーの方もいると思います。何かアドバイスがあれば、お聞きしたいです。

 

自分は偉そうなことを言える立場ではないですが、ストレングスコーチは見た目が大事だと思います。

普段トレーナーとして選手に筋トレのアドバイスや指導をすることがあるんですが、言っている本人に筋肉がないと、選手がついてこないんですよ。これはとても選手の取り組みに影響すると思っていて、もし仮にすごいトレーニングの知識があって正しいことを言っていたとしても、当の本人がガリガリだと、選手の取り組みはあまりよくないと思います。

 

実際やってみてわかることも多くありますし、ストレングストレーナーに関しては、自分もトレーニングしたほうがいいですね。

 

コーチもそうかもしれませんが、やはり、ノウハウを自分が体現できるとチームの考えを選手に浸透できますよね。

 

 

「継続は力なり」たくさんの選手を近くで見て実感した

 

—— トレーナーの中でも、望月さんが担当されていたS&Cトレーナーとして学んだことや気付いたことはありますか?

 

食事の重要性ですね。トレーナーの仕事の一つとして体重管理を行っていたのですが、食事に対する考えがまだまだ甘い選手がいるなと感じました。

 

毎日測る体重は変わったとしても昨日よりわずか100g増えたかどうかくらいじゃないですか。それでも小さな努力を積み重ねていく選手が結果を出すんだと実感しました。

 

逆に言えばこうした積み重ねでしか真の実力や結果はついてこないんだなと思いました。

 

「継続は力なり」と良く言われますが、たくさんの選手を見る中で実体験として感じましたね。

 

—— 学生トレーナーをやって良かったことや勉強できたことはありますか?

 

まず一つ言えることは、本気で日本一を目指しているチームの一員として行動できる幸せやそれに伴う責任は他ではそうそう味わえないですね。目標に対して自分が何をしないといけないのか、何ができるのか、を客観視する力をつけることができたと思います。

 

—— それこそが体育会の良さでもありますね。律しられた組織で行動することで人間力も高まると思います。

 

そうですね、社会に出て即戦力になるんじゃないかと思います。特にスタッフは、ビジネス的なマナーやスキルはいくつも無意識的についていくと思います。

 

あとは、どんな人や組織が結果を出すのか、強くなっていくのかを間近で見ることができます。先ほどの体重の話もまさにそうですが、地道な積み重ねが結果を出すんだと実感できたことは、トレーナーをやっていたからこそ学ぶことができました。

 

—— 最後にお聞きしたいのですが、将来どんな人になりたいか、夢やイメージはありますか?

 

今はこれといった具体的なイメージはありませんが、これまでの大学生活はラグビー部という世界しか知りませんでした。それも素晴らしい環境でしたが、外にはまだ自分が経験したことのないいろいろなことが待っていると思います。いろんな人と会いいろんな経験をして自分の幅を広げ、ラグビー部で学んだことを活かしながら自分という人間を形作っていけたらと思っています。

 

 

(編集後記)
今回は望月さんに、学生トレーナーとしてどんなことを考えて日々仕事に取り組んでいるのか、その中でぶつかる壁や辛い思い、その先にある学生トレーナーの素晴らしさや魅力についてインタビューさせていただきました。現在学生トレーナーとして活動されている方、今後トレーナーになることを考えている方に記事が届き、背中を押すことができれば嬉しい限りです。終始優しい語り口で、今までの経験を赤裸々に語って頂きました。その言葉の裏には4年間の思いや、望月さんの持ち前の真面目さを強く感じました。望月さん、ご協力ありがとうございました。

 

 

 

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