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あなたは実践できていますか?絶対にぶれない目標の作り方

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JOC(日本オリンピック委員会)にてトップアスリートに対するアフターキャリア/セカンドキャリアに関するサポートを行いながら、コーチや保護者にもアスリートを支援するための研修を提供する相馬浩隆さんに、選手が目標を持つためにコーチができることについて伺いました。

 

自分が決めたことしか、人は頑張れない

—— モチベーションを保てない選手にはどんな対応が必要でしょうか?

 

定期的に試合に出られれば良いですが、そうでなかったとしても、「何を目指しているの?」と問い直すということが重要だと思います。目指しているものを達成した時に何が嬉しいのかを具体的に思い起こさせたり、達成できなかった時にどんなデメリットがあるのかという問いかけをしたりして、なぜその目標を達成したいのかを聞き出す。

 

そんな確認を研修ではやっていますし、選手にはそういうアプローチが必要だと思います。こちらから与えた目標ではなく、あくまで選手自ら探し出すことがとても重要です。

 

—— レギュラーから遠い選手にチームとして同じ目標を見てもらうためにはどうしたら良いでしょうか?

 

舞台装置をうまく利用するというか、目標設定をさせるのが上手なコーチっていると思うんです。

 

なぜ伝統校は勝ち続けるのかということにもつながると思うんですが、伝統校の強みの一つとして、インターハイなどみんなが目指している舞台でその目標を達成した時にどんなことが起きるか、例えばそこにいる関係者、親や学校が喜んだり、表彰されたりと、どんな嬉しい事があるかわかることが挙げられます。これは大きなインスピレーションになると思いますね。

 

—— 間近で見る事で、よりモチベーションは上がりますね。

 

また、それを達成するためにはどんな練習をしたらたどり着けるのか、練習の質や量がわかる。これを耐えられればその舞台に行ける可能性があるってのがわかる。

 

そして、2軍3軍の人たちは、少なくとも1軍に行くためにはあの人たちと同じクオリティにならなくてはいけないと腹が固まるんですね。決心できる。
リアルに感じる事が一番ダイレクトに響くから、伝統校はその成功体験に必要なサンプルをリアルに感じられるから目標を持ちやすい。

 

もし自分たちがそのレベルじゃないのに県の代表なのに日本優勝を目指すとなると、1軍の選手ですら目標を持ちにくいし、2軍3軍の人たちはもっと持ちにくいと思います。

 

—— 冒頭にある通り、「何を目指しているの?」という質問には、目標に対して選手のイメージが伴っていることが重要なんですね。

 

その思いが乗った強い目標こそが、モチベーションを保つために一番大切なことですね。

 

考えつめてこそ固まる「心からの想い」

—— 選手それぞれの目標設定を促すにはどんなアプローチが必要でしょうか?

 

その人がどうやったら目標を持てるかというのは、言い方を変えると、その人が目標を設定してそれにトライするという思考回路を持つということだと思うんです。

 

何ヶ月後にこうなる、ということを決めて、今の自分に何が足りないかを逆算し、そのギャップを埋めるためにどんな方法をとれば良いのか。これを日頃からしっかり考えているタイプの人と考えていない人に分かれます。

 

—— 考えていない人にそれを気づかせるのはすごく難しそうですが、具体的にどんなアプローチが必要でしょうか?

 

そんなことやったことないという人には、強い言葉をかけてもその方法を知らないから身につきません。だから、(そのプロセスを)繰り返すしかない。

 

多くのコーチはその反復のために練習ノートをつけさせて、今の目標って何だっけ?今日の練習でそれに近づいた?と自分自身に問いかけさせる。それを何度も繰り返すことによって意識付けされていくのではないかなと思います。

 

私が提供している研修では重要性を伝えて、あとは各コーチがその方法論を研究して問いかけながらやっていく、練習ノートにコメントしていくことを促しています。そういったところは、コーチにもっと学んで欲しいところですね。

—— 逆にその強い「想い」が最強のモチベーションになりますね。

 

「勝ち」が「価値」になりすぎてはいけない

ーー モチベーションを保てずにドロップアウトしてしまう選手にはどのようなアプローチが適切でしょうか?

 

理由にもよりますね。バドミントンなんかだと小学生くらいから始める選手が多いらしく、体が全然できていないうちはテクニックをつけるとわりと上手になるそうです。

 

例えば、ネット際のプレーのコツとかコートの四隅を狙うとか。
ところが体が大きくなってくると、筋力をつけたり、あそこに球が飛んできたら3歩下がらないといけないという空間感覚を身につけたりする必要があるそうです。

 

ーー どのスポーツでもその感覚は重要な要素ですね。特にトップレベルを目指す選手には必須の能力かもしれません。

 

その空間能力みたいなものを伸ばすトレーニングは、コートの中を走り回り、足にどれくらい力を入れたらあそこに届くはずという事を反復練習していくしかない。

 

小学生の時に勝っていた選手は、きつい練習をしなくても勝っていたので、中学生になった時にきつくて厳しい反復練習を嫌がらずにできる選手に追い越されたり近づいたりされます。

 

ーー そうなると、今まで勝っていた子は焦りますね。

 

そこで、自分が強い事に楽しみを感じていた選手は辞めてしまうことも多いそうです。

 

つまり、勝つ事が楽しくてやっている選手は負け始めた時に心が保てなくてやめてしまう気がします。勝つことだけでなく自分が成長する事を意識させて、そこに目標を持たせてなくてはいけません。

 

以前は勝っていたが、ライバルに負けたり後輩に追い越されたりしてスポーツが嫌になってしまう選手は、救うのが難しくなってくるかもしれませんね。

 

相馬さんサムネイル写真

【相馬浩隆(公益財団法人日本オリンピック委員会 キャリアアカデミー事業 アシスタントディレクター)】

 

 

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